純水及び超純水配管工事
[1] 配管システム施工工事 | |
純水・超純水の供給システムでは、製造装置から端末のユースポイントまで、水の純度を配管により低下させることなく供給される事が要求されてます。しかし、実際には配管総延長が数百メートルから数キロメートルに及ぶ事も稀ではなく、配管方式、配管材料、施工法等の選択は純水・超純水の純度維持のために極めて大きなポイントになります。 | |
[2] 純度低下の要因 | |
配管システムに於ける純度低下を起こす主な要因として、次のものがあげられます。 (1)配管材料からの不純物溶出 (2)配管材料の表面劣化による微粒子数の増加 (3)接着剤からの有機物の溶出 (4)配管システム内における微生物増殖による生菌数、微粒子数の増加 要因(1)〜(3)は、配管材料の選定により、ある程度対応出来ますが、 (4)の微生物の増殖防止はなかなか対処が困難です。 | |
[3] 端末配管システム | |
現在、配管システム内での、微生物増殖を最小限にするための基本的な考え方として、端末配管システム内での純水・超純水の滞留時間を出来るだけ短くすることとしており、この為システムとして、次のような配慮が必要となります。 (1)純水・超純水製造装置を出来る限りユースポイントの近くに設置する。 (2)配管口径は、管内流速が1.5m/s 前後になるように決定する。一方、ループ配管の返り部は、最大使用時でも0.5m/s以上確保する。 (3)配管網を簡素化し、エアー溜まりや水の対流部、逆流部をなくする。 以下に推奨配管システムの例を示します。 | |
[4] 配管材料 | |
純水・超純水の配管材料として、次のような特性が要求されます。 (1)金属イオン、微粒子、TOC等不純物の溶出が少ないこと。 (2)生菌が増殖せぬよう管内が平滑であること。 (3)過酸化水素、オゾン等による殺菌洗浄や紫外線による殺菌を行うため耐食性に優れていること。 (4)80℃以上の熱水による殺菌洗浄を行う場合もあるため耐熱性に優れていること。 (5)機械的強度を十分有していること。 (6)その他 ※施工が容易であること。 ※値段が安く、汎用性があること。 ※パイプ、継ぎ手、バルブ等の口径寸法が豊富にあること。 以下に分野別の使用配管材料例を示します。 |
分野別の使用配管材料例
項目 | 半導体 | 製薬医療 | 食品 | 光学 | |||
配管材料 | 64Kbit | 256Kbit | 1Mbit | 4Mbit | |||
ポリ塩化ビニル PVC | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
ポリエチレン PE | ○ | ○ | |||||
ポリプロピレン PP | ○ | ○ | ○ | ||||
2フッ化ビニリデン PVDF | ○ | ○ | |||||
ステンレス鋼 SUS | ○ | ○ | ○ |
[5] 純水・超純水配管の施工 | |
純水配管においては施工の各段階での清浄工法の確立が重要になり、 次の様な点に留意する必要があります。 (1)機器材料等の禁油処理と清浄保管 (2)作業場所の整備:作業前の整理、清掃の確認 (3)資材の点検 :保管状況の確認、切り粉、埃等付着物の検査 (4)使用工具の点検:工具類の清浄度、脱脂などの検査 (5)作業服等の検査:清浄な作業服、手袋、ワイパー等の使用 (6)配管材料の脱脂洗浄 (7)施工各段階でのフラッシング、脱脂洗浄、養生 (8)配管完了後の殺菌洗浄、仕上げ洗浄 |